さて、前回は印刷部品についての情報収集を行った。
材料選定についての結論はABSとなった。
今回はABSとの仲直りについてチャレンジしていく。
ABSの反りについては熱収縮によるものであるというのは周知の事実。
以下のサイトがわかりやすい。
反りの対策として多く上げられるのがヒートベッドと庫内加温である。
ヒートベッドは最近ではほとんどのモデルに搭載されているので問題ないと思うが、庫内加温は産業用モデルでなければほぼ搭載されていないと思われる。
庫内温度はガラス転移温度から20~30℃程度低いところまで加温が理想との情報も見かけた。
ABSのガラス転移温度が約80~110℃とすると、庫内温度は約50~80℃ということになる。80℃となるとかなりハードルは上がるが、50℃であればなんとか狙えるレベルではなかろうか。
我らがAdventurer3は低価格帯でありながら箱型であり、ある程度庫内温度を維持できるようになっている。
とはいえ、冬場はどうしても室温も低いせいか夏場にくらべ庫内温度が下がる。
夏場のデータがすぐ出てこないが、冬場は平均して30℃台後半、少し理想に届かないレベル。これについて対策を行っていく。
一般的な対策としては、
- 室温を上げる
- エンクロージャーをつける
の2つが思い浮かぶ。
室温については冬であるため暖房をかけているものの、あまり上げすぎるとサウナになってしまうので、必然的にエンクロージャーによる対策一本になる。
先に結論から申し上げると有りモノでさくっと考えたのがこちら。
原始的ではあるが、ある程度の断熱性がありそうなプチプチによる簡易エンクロージャーである。
加えて、Adventurer3お持ちの方はお分かりいただけると思うが、パネルの接合部にそれなりの隙間がある箇所があるため、これをマスキングテープで塞ぐことも行った。
結果、庫内温度は室温23.5℃で約48℃まで上昇、うん悪くない。
室温が23℃ということもあるが冬場でここまで上げられれば夏場はなんとかなりそうである。
ここでひとつ注意点として、実は冷却ファンがONのときとOFFの時では庫内温度に差があり、OFF時は30℃台後半に落ちた。
これは冷却ファンにより、高温となったビルドプレート付近の空気を庫内全体に循環させる効果があるものと思われる。ABS印刷時は基本的に冷却ファンはONなので問題はないが、OFFにするケースでは別途ビルドプレート付近に送風ファンのようなものを設置するなどの対応が必要かもしれない。
そんなこんなで久しぶりにABSを印刷。
そして特に問題なく印刷ができた。
うーん、ABSってこんなに簡単に印刷できたっけかな・・・。
あ、そういえば以前ABSに苦戦していたときはビルドプレートが標準の軟性プラットフォームだった。
軟性プラットフォームは印刷後にモデルを剝がす際、曲げることで簡単に剝がすことができるというメリットを謳っているが、正直剥がれにくいものは剥がれないし下手をするとビルドシートごと剥がれてしまうことも稀にある。
また、ABSやPCなどプラットフォームが高温で長時間の印刷を数回繰り返すと、ビルドシートの表面がデコボコし始め劣化する。感覚では10回持つかどうか・・・。
そんなこともあり、軟性プラットフォームはメリットよりもデメリットのほうが大きく、私のAdventurer3はガラスプラットフォームに交換をしている。
軟性プラットフォームと違い、剥がす際にはスクレーパーなどが必要な場合もあるが、総じて安定性と品質は上がっている。
もし交換されたい方は、現在日本ではAmazonで販売しているが値段が高いため、急ぎでない場合はAliexpressがお勧め。
さて、ABSがそれなりに印刷できそうなのでコツコツパーツの印刷を進めていきたい。